光の旅路(11)2014.4月号

「さくら」

挿絵1「春の宴」53×45.5㎝ 2012年制作  紙本彩色 個人蔵

 

桜の咲く季節となりました、お花見をするのに桜の開花前線が気になる時期でもあります。

昔から和歌にも詠まれ日本人に親しまれています。

 今でこそ日本を代表とする花ですが、

奈良時代から平安時代にかけては仏教とともに中国からの文化をとりいれ

その影響もあってか桜よりも「梅」のほうが好まれたようです。

 

「ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花ぞ散るらむ」

                      紀友則/古今和歌集

訳 

日の光がこんなにものどかな春の日に、どうして桜の花だけは散っていってしまうのだろうか

 

この歌は紀友則の詠んだ歌で、小倉百人一首にも収録されています。ちなみに紀友則は土佐日記で有名な紀貫之のいとこにあたります。

 「ひさかたの」は「光」にかかる枕詞です。

「ひかりのどけき」は「のどかな光」と訳しています。

ここで言う「花」とは「桜の花」のことで、「暖かくなってきた春の日なのに桜の花だけはさっさと散っていってしまうのはなぜだろうか」という寂しい気持ちを表した歌です。

 

「世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし」  在原業平

 

この世の中に、まったく桜の花というものが無かったならば、春を迎える人の心は、おだやかでいられるだろうに。

もちろん、本気で「桜なんか無かったらいいのに」と思っているわけではありません。「美しい桜の花よ、どうか散らずに、このままずっと咲いていておくれ」という、はかない花の命を惜しむ思いを、裏返しの形で表現した歌です。

 

桜の花は一斉に咲きすぐに散るため 花びらの咲いては散る間が短く、しばしば命の儚さになぞえられ多くの歌として詠まれています。

 

今も昔も日本人のDNAの中には生まれ変わりながらも「サクラ」が刻み込まれてるのだと感じました。

 

 

挿絵2 「マスカット(2013/スケッチ)」