光の旅路(10)2014.2月号

over the rainbow

挿絵1「祈りの鐘」100×100㎝ 2009年制作  紙本彩色

 

この歌はオズの魔法使いの挿入歌で知られています。

Somewhere over the rainbow  (虹の彼方のいずこか) 」  

これからはじまる物語をワクワクと想像させ、真実と虚像が表裏一体の渦となっていきます。

話はドロシ-の家が竜巻で飛ばされてしまうところからはじまり、

「頭がよくなりたい」案山子、「心がほしい」ブリキのきこり、

「勇気がほしい」ライオン、「故郷にもどりたい」ドロシ-。

それぞれ失ったものを手に入れる為にオズの国王に会いに行く旅に出ます。

ミュ-ジカルや絵本、アニメにもなっていますね、

さて、自分に無いものを欲しいという願望。

努力して苦労すれば必ず報われ成功する、というのは今までよくある話でした。

 今の世代はローリスクで安定した仕事、夢より現実をみて、問題があっても見て見ぬふりをする人が多いように感じます。

日本は高度経済成長期を終え、今の就職難、バブル景気や金利で海外旅行に行けたなんて話を聞くとにわかに信じがたい。自然と財布の口が堅くなるのはしかたのないことで、スポ-ツ車や高級時計を持つことがリスクと捉えるのもうなずけます。

また、ネットでの情報量とメディアのスピ-ドは著しく進歩をしており、

「いつでも、どこでも、便利で安い」を手に入れた代償に常にストレスにさらされる社会にもなりました。

スロ-ライフ、ロハス、といったファスト~とは逆の生活スタイルが提唱されるようになり、お金はあるけど時間はない生活よりは、お金はないけど家族と過ごす時間が増えるのでよいというのは 今までの価値観を逆手にとった新たな「幸せの青い鳥」なのかもしれません。

人の欲は尽きることはないけども、物質的なものの価値より精神的な価値を若い世代が求めているのも確かです。

エネルギ-資源、少子化、社会福祉など様々な問題が自分たちの世代に重くのしかかっている現実もあります。

 

ジュディ・ガ-ランドの人生を追憶すると 明るい希望の光を求め成功し、身も心も疲れ果ていつの間にか栄光も過去のものとなり、歌い手の誇り使命感で力をふりしぼりかろうじて「over the rainbow」を歌う姿に人々は感銘をうけます。

成功も転落も含めての人生なのだと 彼女の歌声と旋律一つ一つが哀愁を帯びて心に響いてきます。

ドロシ-達のように旅の道草をしているときが人生のうちで一番楽しい時なのかもしれません。

明るい希望のある未来へ、青い鳥が羽ばたいていることを信じて。

 

挿絵2 twinkling (2013/板彩色)」  

挿絵3 「パフィオペディラム(2013/スケッチ)」