光の旅路(4)2013.2月号

「蓮」

 

(ハス)は水生植物で、地中の地下茎から茎を伸ばし、水面に葉を出します。葉・茎・花には空気を運ぶための通気孔があり、全ての部分が縦に貫通していることが特徴です。地下茎は野菜の一種であるレンコンとして親しまれています。
 

泥の沼の中から出てきたとは思えないような美しい花を咲かせ、花と同時に実をつけます。その実は千年以上も発芽力が消失しない程、

強い生命力を持っているといわれています。

仏教では泥水の中から生じ清浄な美しい花を咲かせる姿が死後に極楽浄土に往生し、同じ蓮花の上に生まれ変わって身を託すという思想があり、

「一蓮托生」という言葉の語源となっています。


日本では仏前を荘厳する供華は、平安時代中期(11世紀)頃より香道、華道(挿花)、茶道などが相互に影響しながら芸域に発展し、それを業(なりわい)とする家元が生じてきました。

 華道の家元は「挿花(立花)の基本定型」を定め、それを伝える『花伝書』を伝えています。

蓮を生けるには、蓮池の風情を想わせる自然感を重んじており、花より葉の方が重視されます。

  『花伝書』には、蓮を生ける時「三世を立てよ」と伝えられています。「蓮花・蓮葉」で過去、現在、未来を瓶花に表現しなければなりません。過去は「開き切った葉・果托」、現在は「中途開きの葉・開花」、未来とは「剣(巻)葉・蕾」をいいます。

 このように、しばしの生命である挿花に蓮花を用い、過去、現在、未来の三世を幽玄に表現しています。

日本ならではの時空間、虚空間を演出する蓮活花の伝統芸術といえます。

 

東日本の震災から2年の月日が経とうとする中で、犠牲になられた多くの御霊への鎮魂歌として今の自分気持ちをこの絵に残 しておきたく筆をとりました。

時がたてば記憶も色褪せ、危機管理も疎かになって惨事を招く。また同じことを繰り返さないためにも「現在」をどう色あせることなく後世に伝え続けることが出来るのか。

 

この絵は「過去(飽和)→現在(破壊)→未来(再生)の循環」と「生と死」の中で姿を変えていく「命のカタチ」を表現したく描きました。

見ていただいた方の心に何かしら「カタチ」を残していただけたら幸いです。

 

 挿絵1 『イノチノカタチ』 339×130㎝ 2012年制作 紙本彩色  個人蔵

 

「西原陽平 日本画展  -イノチノカタチ-」

2013年2月19日()~2月24日()

am11002000

ギャラリ-G  市電白島線縮景園前駅すぐ

広島市中区上八丁堀4-1 ア-バンビュ-グランドタワ-公開空地内